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特型バイオハザード型キャビネット
本機器は弊社との取引が初めてのお客様になります。お客様は、既に医療分野における全自動化ロボットを安全かつクリーンな環境下で使用できる様なキャビネットの構想をお持ちでしたが、JIS規格における性能をクリアさせる点において悩みを抱えておられ、さらには、コスト・機器サイズの制限などの面でも制約があり、早急に専門メーカーを選定し協力を得たいとのことでした。

Proposal
エンドユーザーのための使用感

営業としてはお客様コンセプトを元に、機器サイズおよびコスト面で工場設計者と協議の上、お客様に提案予定でした。これは、同時期に他社にもお声掛けをしていることからも価格面が重要になると考えたためです。しかしながら技術者は、技術者視点で設置環境での弊社機器だけでなく庫内設置のロボットのメンテナンスまでもが煩雑な点、さらにはエンドユーザーが使用する際の使用感を考慮する点で、よりよい提案ができるとの判断となりました。そのため社内の議論も踏まえてコスト面だけではない機器の構成を見直し、コンセプトが大きく異なる機器を提案させて頂きました。

Technology
技術は困難の連続

上記コンセプト案により、客先の高い評価を得た上で受注でき作製を開始しました。製品の製作は図面通り順調ではありましたが、機器の試験時において見えない気流を制御するという点で調整が予想以上に難航致しました。これは特に使用感を考慮したことにより、通常とは異なる気流の流れとしたため、計算通りのデータを得ることができませんでした。その時の技術者の脳裏には使用感を考慮しなければとの思いもありましたが、設計者や組立,品質試験者など議論を重ね気流の吸込み箇所の構造やファンの能力値の変更など、通常の試験の約8倍の時間をかけて仕様を満たす製品が形となりました。

Solution
お客様と見出した答え

しかしながら本機器が形としてお客様にご確認頂ける時点でさらに問題がありました。庫内のロボットの仕様がいくつか変更となり気流を妨げる可能性がありました。そのため、庫内のロボットおよび作業台の開口などを再現したデモ架台を作製し直し、再度試験調整を繰り返し、性能をクリアすることができました。最終的にお客様のロボットとドッキングした試験の際に全く問題なく、仕様を満足する試験データを得ることができ、技術者一同大変な安堵を致しました。

Product
誕生した商品

Voice
お客様の感想

コスト面や仕様変更などの多くの制限がある中で、性能をクリアするだけでなく使用感なども考慮頂きエンドユーザーに自信を持って提供できると評価を頂き、”次もよろしく”とお声掛けいただきました。工場としては、笑いながら二度と作りたくないと言われた製品ですが、現在類似の2機目の製作に取り組んでいます。